大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和42(行ツ)16 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人諌山博の上告理由第一点について。

職権によつて調査するに、訴外Dに対する当裁判所昭和三九年(あ)第二二四八

号公職選挙法違反被告事件につき当裁判所第二小法廷のした昭和四〇年五月一九日

付上告棄却の裁判は、決定書の送達によつて告知されたものであつて、右決定書が

被告人Dに送達されたのは同年五月二二日であり、これに対して異議の申立なくそ

の申立期間を経過したことが認められる。したがつて、甲第四号証(裁判確定証明

書)が右Dに対する裁判の確定日を同月二六日と記載したのは正当であり、同年六

月二二日提起された本件訴を公職選挙法二一一条所定の出訴期間を経過したものと

主張する論旨は、全く理由がない。

同第二点について。

所論引用の当裁判所昭和三六年(オ)第一一〇六号、同三七年三月一四日言渡の

大法廷判決(民集一六巻三号五三七頁)の説くところは、いわゆる連座制は、公職

選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明かつ適正に行なわれることを確保

し、その当選を公明適正な選挙の結果となすべき法意に出たものであつて、選挙運

動をするに当り、これに重要な影響を与えるような地位に在る者が候補者の当選を

かちうるために、公職選挙法二五一条の二掲記のような悪質な選挙犯罪をおかした

ときは、その当選は公正な選挙の結果によるものとはいえないから、当選人が右の

選挙運動者の選任および監督につき注意を怠つたかどうかにかかわりなく、その当

選を無効とすることが、選挙制度の本旨にかない、憲法一三条、一五条、三一条に

も違背しないとするにあり、所論のように、出納責任者等の犯罪行為が当選に相当

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の影響を与えなかつたことが明らかな場合には連座を認めないとする趣旨を含むも

のでないことは、右判決の判文に照らして窺うにかたくない。したがつて、右所論

を前提として原判決に釈明義務違背、審理不尽があるものとする論旨は失当である。

また、当選人に無過失責任を負わせるものとして連座制の違憲をいう論旨に理由の

ないことも、前示大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。原判決に所論の違法は

なく、論旨はすべて採ることができない。

同第三点について。

公職選挙法二一一条は、検察官に対していわゆる連座訴訟の提起およびその追行

の権限を付与しているのであるから、具体的事件において検察官の職にある何人が

その訴訟事務を担当するかは、検察官の問において決せらるべき内部的問題にすぎ

ず、裁判所は当該事件について検察官が行なつた訴訟上の行為をすべて右法定の権

限に基づく原告の行為として取り扱つて妨げない。たとい、当該事件において、担

当検察官の交替変更、あるいは二名以上の検察官の事件担当の事実があつたとして

も、検察官としての原告の地位自体の同一性は失われるものではない。論旨は、原

審における担当検事の訴提起の権限あるいは担当官の交替ないし複数化の手続が明

らかでなく、原判決は原告適格者不明のままなされた裁判であると非難するが、独

自の見解というほかなく、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

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裁判官 岩 田 誠

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